いつもの教科学習とは一風変わった授業を行いました。
小学校でいうところの、道徳と生活科をミックスしたような学習です。
ソーシャルスキルトレーニングという対人関係コミュニケーションスキルを身につけるための学習も取り入れて授業を構成しました。
こども達がどんな反応をするのか、幼児がどれくらい理解できるのか、ドキドキしながらの授業でした。
まずはじめに、気持ちについてこども達と一緒に確認していきました。
普段の生活の中で、泣いたり、怒ったり、笑ったりしていると思いますが、それが「悲しい」「イライラ・いやだ」「楽しい・うれしい」などの言葉で表せることや、表情で表せることを鏡を使って実際に見て、確認しました。
「悲しい」「いやだ」「うれしい」「苦しい」など、よく見聞きする気持ちをこどもたちは発表していました。
「騒々しい」という考えが出てきたりもして、気持ちを表す言葉と様子を表す言葉が似ているので、日本語は難しいなぁと感じました。
次に、自分の気持ちを表すワークをしました。
気持ちチップ(NPOフトゥーロ LD発達相談センターかながわ)という教材を参考にした、表情カードをこどもたちに渡し、質問に合わせて、自分の気持ちに近い表情カードを選んでもらいました。
「今日の晩ごはんは、焼き魚です。」この時の気持ちは??
「うれしい」「普通」「悲しい」など様々な回答が出てきました。
気持ちを選んだ理由を聞くと、なるほどなと思うものばかりです。
その他にも3つほど質問しましたが、回答が似ていることもあったり、違うこともあったりして、人それぞれ気持ちが異なることを実感してくれたのではないかと思います。
集団生活をする中で、相手の気持ちを思いやることは大事ですが、思いやりをもつことは誰しもそう簡単にできることではありません。ですが、自分と相手が異なる考えや異なる気持ちであったとしても、「人それぞれ違ってもいいよね!相手はどんな考えなんだろう??」と、お互い尊重しあえるようになってくれたらいいなぁと思います。
そうした気付きが今回の授業で子どもたちに届いていればなと願っています。
そして、自分の気持ちに向き合った後は、相手の気持ちを考える学習に進みました。
先生が子ども役になり、トランプの神経衰弱で遊ぶ様子を再現しました。
AさんとBさんは、はじめは楽しく遊んでいましたが、Bさんがたくさんカードを当て始めると、Aさんは負けたくないという気持ちからずるをするので、Bさんが嫌な思いをしている という場面です。
このように場面の再現をすることをロールプレイ学習といい、様々な立場に立って考えたり、客観的に見つめ直すことができたりします。子供達は、ロールプレイの様子を見入っていました。
「Aさんはどんな気持ち?」「Bさんはどんな気持ち?」
それぞれの立場の気持ちを予想し、ペアでお話ししました。
「Bさんは、1つでなく複数の気持ちが混ざっている!!」と気付く人もいました。
勝ち負けへのこだわりが強い時期でもありますので、Bさんの気持ちを考えるときに、「うれしい」を選ぶ人もいました。カードがいっぱい取れたことに着目するからです。
年齢が上がるにつれて多面的に物事を捉えられるようになっていきますが、こういった学習を通して力を伸ばしていくこともできます。
家庭でも、気持ちを表す機会やお互いの違いについて話し合う機会を作っていきたいものです。
そして、最後は、学習のまとめとして、5人ほどのグループで、神経衰弱をして遊びました。
順番を決めると、自分がカードをめくる順番を待つことができていました。
勝ちたい気持ちをもちながらも、みんなと最後までゲームをすることができていました。
みんな違ってみんないい。
頭では分かっていても、知らず知らずのうちに、自分とは違うものを避けているということがあるのではないでしょうか。
他者理解を促すためには、まずは自分の気持ちに気付き、表現することが大事だと私は考えています。
自分の気持ちを他者に理解してもらえた時、嬉しさや心地よさを感じますが、その心地よい良い経験が他者理解への第一歩になると思うのです。
こどもだけでなく、大人だって同じです。
誰かに話を聞いてもらいたいし、気持ちに共感してほしい。
自分の気持ちを素直に話せる関係を、夫婦、親子、友人・・・と広げていきたいものです。
授業後のペアレンツタイムを通して、子育て中のパパママの思いを知り、共感できることがたくさんありました。
参加した大人の皆さんの心が少し軽くなるような、そんな居場所でありたいなと思います。